不動産売却ハウツー

【居住用財産の3,000万円特別控除活用】老人ホームや介護施設に入った親の不動産は相続するまで売却できないの?【生前に不動産を処分したい!】

厚生労働省が7月31日に公表した「2019年簡易生命表の概況」
(参考URL https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/dl/life19-02.pdf)
によると、男性81.41才、女性87.45才と日本では超高齢化が進んでいます。
それに伴って要介護など老人ホームや介護施設に入院する人が増え、入院患者となった親の不動産は売却が出来るのかといった悩みを持つ人も多いのではないでしょうか。
不動産を売却する場合には、所有者が売却するという意思確認が必要で、認知症になってしまうと意思確認が取れないので売却ができなくなります。
老人ホームや介護施設に入所した親が不動産を持っている場合は、意思確認が取れる間に対応をしておかないと相続するまで売却できないといったケースも。
今回は、老人ホームや介護施設に入所した親が不動産を持っている場合の対処法についてお話しいたします。

老人ホームや介護施設に入った親の不動産を売却するには

親はいつまでも元気だと思っていると、ケガや病気で弱ってしまい、あっという間に要介護になって老人ホームや介護施設に入所しないといけないといったことが起こります。
老人ホームや介護施設に入った親が自宅を持っている場合は、誰かが代わりに住むか、処分しないと固定資産税などの費用が掛かるので無駄な出費が続くことになります。
老人ホームや介護施設に入所した親が不動産を持っている場合には、どういった対処法があるのでしょうか。

親が元気なうちに売却

親が老人ホームや介護施設に入所したからといって、すぐに不動産が売却できなくなるわけではありません。
親が元気なうちであれば、売却意思も確認しやすく、書類などへの記載などもしてもらえるので売却もスムーズです。
売却のしやすさだけでなく、マイホームであれば税制優遇を受けられるなど、老人ホームや介護施設に入所に合わせて売却する方がメリットは多いと言えます。

入所にかかる費用を捻出できる

老人ホームや介護施設に入所するには、ある程度まとまった資金が必要になります。
潤沢な資金があれば問題ありませんが、余裕がない場合はマイホームを売却することで入所の資金に充てることができます。
又、ある程度資金がないと入所できる施設も制限されるので、売却して入所の資金を用意しておくことで選択肢を広げることにも繋がります。

マイホームの管理が不要に

親が老人ホームや介護施設に入所してしまうと元々住んでいたマイホームは空家になってしまいます。
親族が住んでくれれば良いですが、遠方の場合はそういうわけにもいきません。
いくら空家だからといって放置しておくと維持管理費が掛かりますし、火事や空き巣など防犯面でも心配です。
売却してしまえばそういった手間や心配を取り除くことができます。

居住用財産の3,000万円特別控除が使える

親が持っている不動産が都内のマンションなどで大きく値上がりしている場合は、売却すると利益が出ます。
通常であれば、不動産を売却して利益がでると所有期間に応じて税金を支払わないといけません。
しかし、居住用不動産の場合は、条件を満たせば3,000万円までは利益が出ても税金の支払いが免除されます。
条件として問題になってくるのは、居住しなくなってから3年目の12月31日までに売却してしまわないといけないという点です。
親が元気になったら戻る予定だったので、そのままにしておいたら3年経ってしまい、戻らなくなったので売却となると大きな税金を支払うことになります。

利益が出ない場合は税金を支払う必要はありませんので特に急ぐことはないかもしれませんが、売却を検討しているのであれば、まず査定を取るなどして利益が出るかどうかは最低限調べておくべきでしょう。

リースバックの活用も検討

リースバックを活用すれば、売主は不動産会社に自宅を売却した後、その不動産会社と賃貸借契約を結ぶことで売主はそのまま自宅に住めます。
老人ホームや介護施設に近い将来入所しないといけないということが予想される場合は、入所後だと売却が難しくなる可能性が高いので、事前に自宅を売却してリースバックしておけば資金の確保もできますし、住む家にも困りません。

意識ははっきりしているが体が不自由な場合に不動産を売却するには

老人ホームや介護施設に入所する段階で、すでに要介護で体が不自由、病気でしんどいので余り動きたくないといったケースも多いと思います。
しかし、まだ意思ははっきりしており、売却に同意してくれている場合は親族が代理人になって売却活動をする方法があります。
息子や娘が親の代理人となって親の不動産を売却するケースが多いですね。

代理人には、法定代理人とそれ以外の任意代理人がありますが、不動産の代理人は任意代理人で基本的には誰でもなれます。

代理人を指名して不動産を売却する

代理人は任命されれば代理人となれますが、不動産の売買においては、トラブルを避けるために委任状を作成するケースがほとんどです。
委任状としては、不動産会社に売却を依頼する媒介契約に対する代理人としての委任状、売却行為自体を代理人に任せる委任状を作成します。
売却の委任状に関しては、不動産会社から3か月以内の印鑑証明の添付を要求されるケースが多いです。

売却委任状への記載事項としては、
・売買契約の締結
・手付金、売買代金、各種清算金の授受
・所有権移転登記申請および司法書士選任
・禁止事項
・有効期限

など、代理人にしてほしいこと、もしくはしてほしくないことなどを記載します。

購入者は委任状を信用して契約するので、代理人は権限を越えるような判断や行為はトラブルの原因になるので避けましょう。

任意後見人を選んでおく

老人ホームや介護施設に入所した親が認知症になりそうで心配だという場合は、任意後見制度を活用する方法があります。
後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があり、認知症になると裁判所が選ぶ法定後見人となりますが、任意後見制度の場合は親本人の意思で選ぶことができ、依頼する内容も自分で決めることができます。
任意後見の手続きは、親と一緒に公証人役場へ行って任意後見契約を結ぶだけです。
手続きにあたって書類作成等が心配な場合は、司法書士などに相談すると良いでしょう。

認知症になってしまった場合は売却できるの?

老人ホームや介護施設に入所した後、ずっと元気だった親が突然認知症になってしまった場合は、親が所有している不動産を売却することができるのでしょうか。
親が認知症になってしまうと売却の意思が確認できないということで、通常の売買はできなくなってしまい、相続してから相続人が売買するしかありません。
認知症になってしまった場合でも、法定後見人制度を活用する、家族信託を組んでおくことで相続前に売却することができるケースがあります。

法定後見人制度を活用する

法定後見人制度は、高齢者や認知症など判断能力の不十分な人について、申立を行って裁判所に後見人を任命してもらう制度です。
対象者の状態によって、補助(判断能力が欠けている)、補佐(判断能力が著しく欠けている)、後見(常に判断能力が欠けている)の3つの種類があります。
認知症で常に判断能力が欠けている状態であれば、後見人として本人に代わってすべての法律行為を行うことになります。

法定後見人は、親族をはじめ、流動性資産が500万以上ある場合は専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士等)が選出されるケースが多いです。
実際に親族として法定相続人になった場合、不動産の売却を含めて、預貯金の管理・解約や介護保険契約や相続手続きなどを行うことになります。
不動産の売却については、売買契約が成立した時点で家庭裁判所に許可をもらう必要があり、許可が出れば売却ができます。
ただし、この法定後見人制度は、判断能力が欠ける人を守る制度のため、不動産を売却する合理的な理由がないと裁判所に資産の処分等の同意を得るのが難しいケースが多いです。

家族信託を結んでおく

親が認知症になった場合に不動産が売却する手段として、家族信託を活用するケースが増えてきています。
家族信託は、平成19年に出来た新しい制度で、財産の所有権のうち管理をする権利のみを信頼できる家族に任せる、信託することができます。
法定後見人であれば不動産の売却は難しいことが多いですが、家族信託であれば契約後に委任者(親)が認知症になっても受託者(妻・子など親族等)の判断で不動産を売却することができます。

家族信託を結ぶ手順

家族信託は色々なケースに流用することが可能ですが、ここでは将来親が持っている不動産の売却を前提とした家族信託についてお話しします。

不動産を所有する名義人である親は「委託者」と利益を得る「受益者」となり、名義人の子が「受託者」となります。
このケースですと、受託者である子は、不動産の売却が可能ですが、不動産を売却して得たお金は受益者である親に入ります。
親が生きている間に売却することを前提としている場合はこのパターンが多いです。
他にも家族信託では、受益者を特定の誰かを指名するなど、色々と応用ができます。

家族信託の枠組みができたら契約書を作成して契約をしますが、どういった内容にするか等複雑なことが多いので弁護士や司法書士などの専門家に依頼するほうが良いでしょう。

費用としては、専門家に払う報酬、公正証書作成費用、信託登記を行うための費用等で不動産の固定資産税額の約1.2~2.0%程度になるケースが多いです。

不動産の売却を前提として家族信託を組む際には、契約の内容として売却を含んでおく必要があり、含んでいない場合は売却ができませんのでご注意ください。

相続後に不動産を売却する場合

親がどうしても売却したくない、準備を進める前に認知症になってしまったといった場合は、相続後に不動産を売却するしかありません。
その場合、相続するまでは部屋の空気の入れ替えや掃除など不動産の管理を相続人たちで行って不動産を維持管理する必要があります。
相続後は相続人が売却することになりますので、相続人の売却意思の確認が取れれば売却はスムーズにできます。
しかし、相続人が多い場合は、全員の承諾がないと売却を進めることができないので売却が難航するケースもあります。
相続後にトラブルを起こしたくないということであれば相続前に売却する方が良いでしょう。

【まとめ】

老人ホームや介護施設に入所した親の不動産は、条件を整えていれば売却は可能です。
元気なうちであれば売却もスムーズですし、体が不自由になっていても売却意思がはっきりしていれば代理人に指名してもらって売却活動をすることもできます。
ただし、条件を整える前に認知症になり、不動産の売却意思が確認できなくなると売却は難しくなります。
法定後見人や家族信託しておくなど方法はありますが、格段に難易度が上がります。
親が唐人ホームや介護施設に近い将来入所しなければならないとわかった時点で、親が所有している不動産をどうするかを話し合う方が良いでしょう。
その際には不動産会社に査定を依頼しておくと、売却した時に利益が出るか出ないかもわかります。
税制優遇が受けられるうちに急いで売却しないといけないのかなど、売却を検討する上でも判断材料にもなりますので、必ず不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。

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